1973 Van Morrison – Hard Nose The Highway

1973 Van Morrison - Hard Nose The Highway
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ヴァン・モリソン(Van Morrison )が1973年発表した『Hard Nose the Highway』は、精神的、音楽的に複雑で一貫性はないが、歌詞が特に素晴らしいアルバムである。

前にリリースされた『St. Dominic’s Preview』(1972年)『Tupelo Honey』(1971年)などのアルバムに比べると、あまり評価は高くなかったが、歌詞は表現豊かでわかりやすいものになっている。

このアルバム『Hard Nose the Highway』のテーマはノスタルジアであるが、簡潔にしかししっかりと強調されている。そんなヴァン・モリソンの感情は、耳障りでやりたい放題のトラック⑤”The Great Deception”にあふれており、いかした都会的な文化とロックの流行に対する辛辣な批判が表現されている。

ヴァン・モリソンの『Hard Nose the Highway』で奏でた音楽は、深く落ち着いたジャズ調で、控えめだが変化していくインストゥルメンタルの雰囲気が漂っている。それがヴァン・モリソンのボーカルとうまくマッチして「ジャズ、ポップス、ロックの概念を柔軟に融合できる彼の才能」を証明している。

このアルバムの曲構成は、かなり自由である。A面は5曲からなり①”Snow in San Anselmo”で始まり、⑤”The Great Deception”で終わる。①”Snow in San Anselmo”は、落ち着いたり激しくなったりを繰り返し、奇跡にも近い出来事の思い出を描いている。気だるいジャズ調の序奏から、突然オークランド交響室内合唱団(the Oakland Symphony Chamber Chorus)と激しいホルン&サックスのアレンジを対抗させるかのようなアップテンポのリフレインに突入する。

イントロ部分のコーラスは、ニール・ヤング(Neil Young)とロンドン交響楽団(the London Symphony Orchestra)のセッション同様、不必要なものかのように思える。

ロンドン交響楽団がニールの哀愁を誇張しすぎ、その効果を下げてしまっていたように、コーラスを入れることで、ヴァン・モリソンの感性の中心となる不安定な感情が強調されすぎてしまっている。しかしながら、この曲のヴァンのボーカルは秀逸である。

続いての②”Warm Love”は、細々とした人生と音楽への感謝の気持ちをまとめ上げている。このトラックはアルバムの中でも最も力強いメロディーで、ヒットシングルとなるチャンスもあった。

続くタイトルカット③”Hard Nose The Highway”は、『St. Dominic’s Preview』と(それより簡潔で少々劣るが)同じようなサウンドと構成である。この曲でヴァンは50年代のポップスへの敬意を表している。

歌詞に「フランク・シナトラ(Frank Sinatra)がネルソン・リドルの音楽に反して歌うなどあり得ない」(”Ain’t that some interpretation/When Sinatra sings against Nelson Riddle strings”)とある。

そしてヴァン・モリソン自身の過去を振り返り、いくらかシニカルな表現となっている部分もある。

「金を口に詰め込め〜(中略)〜勝つために/負けるときに備えなければ」(”Put your money where your mouth is … In order to win you must be prepared to lose sometime.”)

彼の子供時代から青春期までを深く掘り下げている④”Wild Children”は、このアルバムの最も感情に訴える曲となっている。

幼い頃の思い出は帰還兵たちであったが、若かりし頃の思い出は、テネシー・ウィリアムズ(Tennessee Williams)、ロッド・ステイガー(Rod Steiger)、マーロン・ブランド(Marlon Brando)、ジェームス・ディーン(James Dean)などと共にあった。

音楽はリラックスした雰囲気で、歌詞は簡潔で心を打つ。

「僕たちは戦争の子供だった/1945年に生まれた/兵士たちが帰ってきた/彼らの目には愛があった」(”We were the War Children/Born 1945/When all the soldiers came marching home/Love looks in their eye.”)

前作、1972年に発表したアルバム『St. Dominic’s Preview』の場合は、アルバムB面の方がA面よりも良い仕上がりだった。

10 分にもわたる⑦”Autumn Song”は、感情的なパワーが蓄積する幅広い世界観を作り出すヴァンの才能が改めて証明されている。

「小さくて魅惑的な太陽が昇ってきた/街に秋がやってきたら散歩に出かけよう」(”Little glamour sun coming round/Take a walk when autumn comes to town,”)

言葉では言い尽くせない、日常の何気ない喜びが快適な環境と調和している様を歌っている。リラックスしつつもきらめきのある曲調であり、ジェフ・ラベス(Jef Labes)の素晴らしいピアノとヴァンとジョン・プラタニア(John Platania)のダブルギターがいい味を出している。

⑦”Autumn Song”の前後には、メロウな曲が収録されている。ジョー・ラポーゾ(Joe Raposo)の⑥”Bein’ Green”はロックンロールの三連符を用いた詩的でうっとりとするような曲で、力強いホルンから震えるようなストリングスへと移行する。

アルバム最後のトラックは、ヴァン・モリソンの素晴らしいアレンジが効いた⑧”Purple Heather”(スコットランド歌曲)である。彼独特のロックスキャットで”Da da da, Da da da, Da da da …”とボーカルとピアノの間に響きながらフェードアウトし、以前にリリースされた『Astral Weeks』の美しい世界観が表れている。

彼が「もっともリラックスしていた時代」を思い起こさせるような、満足のいく終わり方である。

Written by Marios

【曲目】

1. Snow In San Anselmo 
2. Warm Love
3. Hard Nose The Highway 
4. Wild Children
5. The Great Deception 
6. Bein’ Green (Joe Raposo) 
7. Autumn Song 
8. Purple Heather (Traditional Arranged By Van Morrison) 

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1973 Van Morrison – Hard Nose The Highwayのメンバー

Van Morrison – Acoustic Guitar, Vocals
Jack Schroer – Tenor, Alto, Baritone, Soprano Saxophones
Jules Broussard – Tenor Saxophone, Flute
Joseph Ellis – Trumpet
Bill Atwood – Trumpet
Nathan Rubin – Violin
Zaven Melikian – Violin
Nancy Ellis – Viola
Theresa “Terry” Adams – Cello
John Tenney – Violin
Michael Gerling – Violin
Jef Labes – Piano
John Platania – Guitar
David Hayes – Bass
Gary Mallaber – Vibraphone, Drums
Rick Shlosser – Drums
Marty David – Bass
Jackie De Shannon – Backing Vocals
Oakland Symphony Chamber – Chorus

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